2017-08

ミスティ - 2017.08.12 Sat





ネオンの外れを目指していた

見上げた夜空にオレンジの月が

赤い舌をのぞかせている

あれは世をはかなんだ照れ隠しか


歩を進めるにつれ喧騒は遠ざかるが

何処からか生き物の遠吠えがして

少しく胸騒ぎがする


赤い舌触りは現実の狭間を抜け

私に忍び寄る

そのざらつきに心は波立つ


得体の知れない夢酔に確証が欲しく

私はざらつきに手を伸ばす

よしんば触れようとも正体は知れず


見上げた夜空にオレンジの月が

赤い舌をのぞかせている


今し方触れたざらつきは

果たしてあなたの口元か

亜熱帯植物園 - 2017.08.07 Mon





夏の熱波に白む空は

すでに溶け出し

幾分冷ややかな海を舐めてゆく


海面を滑る風はそのまま

生まれ落ちた植物の繁茂を揺らし

丘を散らしてゆく

辺りは亜熱帯と化す


何時だってこの季節に

温室は不似合いだった


役割を終えたドームを見下ろし

幾度も通ったジャングルを想う





※県民に愛された長崎県亜熱帯植物園は、平成29年3月31日に惜しまれつつ閉園しました。



幸せについて - 2017.07.30 Sun



実は陳腐に過ぎるけれど

耳慣れた言葉に込めた

宇宙規模のダイナマイト

それが幸せ


意味をつかむのはそれぞれの感性

私も幸せになりたい

そう誰もが思う


ある人はモアァ ザンに燃え

ある人は足るを知る

千差万別ではあるけれど

モアァ ザンには限りがある


幸せは彼の人々との比較において

生まれ出づる悲しみ

それは人間的弱さの

または強さの発現


人の中に

希望が芽生えたとき

幸せはてのひらでつかめるのかもしれない

その時まで




フランソワーズアルディ  さよならを教えて


恋を数えて - 2017.06.08 Thu


カサブランカで

ハンフリーボガードに憧れ

あんな大人になりたいと思った

愛する人たちを懸命に守り抜く



やがて大人になった自身は

人との域に痛みを感じ

ほど良い着地点に安堵してしまう

ありたいと思ったことも褪せてゆく



時も深まり

やや心根の鈍くなったこの頃

置き忘れた事々が思い出される

喜怒哀楽の残滓が浮かぶ



私の映画は何シーンを終えたのか

できることならば

イルザを救いたい










1968・佐世保 - 2017.05.12 Fri


あの日、ベイエリアは全国から駆けつけた人々であふれていた。

官民織り交ぜた集団は次第に密度を増し、迫る岸壁へ押し寄せた。

そこには巨大錨を砂底に根付かせた悪夢の原子力空母が係留されていた。


メディアは一様に反戦を唱えるけれど、

幾時代もの間、悲しい戦争を繰り返してきたこの国や

近隣地域、その集合体が今の世界であり、

多くが自国防衛の手段を手にした現在では、

その手段の充実こそが戦争抑止力となりつつある。


砂の城は一蹴で崩壊する。

間違いなく、全世界が反戦でなければ本当の平和は成立しない。







ブイヤベース - 2017.05.11 Thu





黄砂に霞む空と春風に波立つ海を

不埒な堤防で区切ってみた


堤防の突端では釣り人が

緩慢な動きをしている

一日の真ん中であれば

緩くあることが肝要だ



世界が白んだ辺りで

ゆるりと釣り上がるもの

わずかに希望が見え始めた

影を残して - 2017.04.29 Sat






身の丈の影が揺れているのは

夕暮れが近いから


街灯のないジオラマの中で

あの日の母を探しているのだけれど





https://www.youtube.com/watch?v=wKeI9ENaPf4


小説家 - 2017.04.26 Wed





せんしゅうのにちようび

ひでぼうのおにいさんをみかけた

おにいさんはぼくのことをしらないけれど

ぼくはわりとよくしっている


ひでぼうはぼくのどうきゅうせいで

もうなんねんもあっていないのだけれど

むかしでいうと

はしだのりひこにのやさしいかんじ

かわってないかな

かおはきょうだいでにてないけど

こえはきょうだいでそっくりだった


えとでいうとなにどしだったか

おにいさんはあくたがわしょうをもらって

ゆうめいになったから

ぼくもおにいさんのかおがわかるようになったんだ

こえとかも


おにいさんはいまでもにそくのわらじで

しょうせつかとはべつにはたらいているみたい

だけどいっぱいかいてるから

ほんやにいくとおにいさんのほんがならんでいたりする

もちろんぺんねーむで


じつはぼくもおにいさんのふぁん

すとーりーてらーでよいかんじ

だからずっとがんばってほしい



せんしゅうのにちようび

ひでぼうのおにいさんをみかけた

おにいさんはぼくのことをしらないけれど

ぼくはわりとよくしっている


俯瞰 - 2017.02.03 Fri





神々の造りし島々が

大小

青海に浮かぶ


何時の頃にか

草木を抱き

パノラマの俯瞰を成し

不可思議の夢を与える


美しき天然は

たゆとうままに

眼下に広がり

あの日のままにある


君はまた見るだろうか

かの景色が今も変わりなくある様を

沈黙 - 2017.01.24 Tue


近日公開される映画「沈黙」に寄せて

鎖国時代の長崎は天領として海外貿易を行っていた。当時の歴史的建造物は観光の名所になっており訪れる人も多い。中でも長崎とその近郊の教会群は世界遺産登録を目指し、その価値を含めた知名度向上と定着を図っている最中。
遡って島原の乱後、幕府の禁教令により厳しい取り締まりが続き、日本各地でキリスト教信者への迫害が続いた。逃げ惑う外国人宣教師をかくまったのも信者であったが、何処でか捕縛され拷問の挙句、棄教改宗するか命を落とすかの選択を迫られた。棄教者で知られているのは、転び伴天連の汚名を着せられたクリストヴァン・フェレイラ、日本名沢野忠庵。ポルトガル出身のカトリック宣教師でキリシタン弾圧に協力したと言われており、遠藤周作の小説『沈黙』のモデルとなった。彼の生涯については書物にも詳しいが、心のうちは誰にも理解できないだろう。その時代と人々には想像できないことが多いように思う。いわく時代が違う。
なお、幕末近くには列強諸国のクレームも強く、現在の大浦の地にフランス人宣教師の手により天主堂が建立されることとなった。
1865年完成。翌年には浦上村の信者が祈りのため天主堂に姿を現した。信徒発見の瞬間であった。そこから、江戸を経て明治に続く最後の弾圧「浦上四番崩れ」が始まることを歴史は伝える。


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