2017-05

1968・佐世保 - 2017.05.12 Fri


あの日、ベイエリアは全国から駆けつけた人々であふれていた。

官民織り交ぜた集団は次第に密度を増し、迫る岸壁へ押し寄せた。

そこには巨大錨を砂底に根付かせた悪夢の原子力空母が係留されていた。


メディアは一様に反戦を唱えるけれど、

幾時代もの間、悲しい戦争を繰り返してきたこの国や

近隣地域、その集合体が今の世界であり、

多くが自国防衛の手段を手にした現在では、

その手段の充実こそが戦争抑止力となりつつある。


砂の城は一蹴で崩壊する。

間違いなく、全世界が反戦でなければ本当の平和は成立しない。







ブイヤベース - 2017.05.11 Thu





黄砂に霞む空と春風に波立つ海を

不埒な堤防で区切ってみた


堤防の突端では釣り人が

緩慢な動きをしている

一日の真ん中であれば

緩くあることが肝要だ



世界が白んだ辺りで

ゆるりと釣り上がるもの

わずかに希望が見え始めた

影を残して - 2017.04.29 Sat






身の丈の影が揺れているのは

夕暮れが近いから


街灯のないジオラマの中で

あの日の母を探しているのだけれど





https://www.youtube.com/watch?v=wKeI9ENaPf4


小説家 - 2017.04.26 Wed





せんしゅうのにちようび

ひでぼうのおにいさんをみかけた

おにいさんはぼくのことをしらないけれど

ぼくはわりとよくしっている


ひでぼうはぼくのどうきゅうせいで

もうなんねんもあっていないのだけれど

むかしでいうと

はしだのりひこにのやさしいかんじ

かわってないかな

かおはきょうだいでにてないけど

こえはきょうだいでそっくりだった


えとでいうとなにどしだったか

おにいさんはあくたがわしょうをもらって

ゆうめいになったから

ぼくもおにいさんのかおがわかるようになったんだ

こえとかも


おにいさんはいまでもにそくのわらじで

しょうせつかとはべつにはたらいているみたい

だけどいっぱいかいてるから

ほんやにいくとおにいさんのほんがならんでいたりする

もちろんぺんねーむで


じつはぼくもおにいさんのふぁん

すとーりーてらーでよいかんじ

だからずっとがんばってほしい



せんしゅうのにちようび

ひでぼうのおにいさんをみかけた

おにいさんはぼくのことをしらないけれど

ぼくはわりとよくしっている


俯瞰 - 2017.02.03 Fri





神々の造りし島々が

大小

青海に浮かぶ


何時の頃にか

草木を抱き

パノラマの俯瞰を成し

不可思議の夢を与える


美しき天然は

たゆとうままに

眼下に広がり

あの日のままにある


君はまた見るだろうか

かの景色が今も変わりなくある様を

沈黙 - 2017.01.24 Tue


近日公開される映画「沈黙」に寄せて

鎖国時代の長崎は天領として海外貿易を行っていた。当時の歴史的建造物は観光の名所になっており訪れる人も多い。中でも長崎とその近郊の教会群は世界遺産登録を目指し、その価値を含めた知名度向上と定着を図っている最中。
遡って島原の乱後、幕府の禁教令により厳しい取り締まりが続き、日本各地でキリスト教信者への迫害が続いた。逃げ惑う外国人宣教師をかくまったのも信者であったが、何処でか捕縛され拷問の挙句、棄教改宗するか命を落とすかの選択を迫られた。棄教者で知られているのは、転び伴天連の汚名を着せられたクリストヴァン・フェレイラ、日本名沢野忠庵。ポルトガル出身のカトリック宣教師でキリシタン弾圧に協力したと言われており、遠藤周作の小説『沈黙』のモデルとなった。彼の生涯については書物にも詳しいが、心のうちは誰にも理解できないだろう。その時代と人々には想像できないことが多いように思う。いわく時代が違う。
なお、幕末近くには列強諸国のクレームも強く、現在の大浦の地にフランス人宣教師の手により天主堂が建立されることとなった。
1865年完成。翌年には浦上村の信者が祈りのため天主堂に姿を現した。信徒発見の瞬間であった。そこから、江戸を経て明治に続く最後の弾圧「浦上四番崩れ」が始まることを歴史は伝える。


田平教会 - 2016.12.22 Thu






機嫌を損ねた雲間から

柔らかな光が降りてくる

風が天音を奏でる



訪れた人々は一様に

敬虔を持って

煉瓦積みを仰ぎ見る


その昔

迫害と信仰は天秤に掛けられ

なお信仰に生きた人々がいた

かの時代を経て息づく歴史に圧倒される


思うに私の支えは何だろう

心は時に語りかけてくるが

言葉ほど饒舌ではなく

在所を見失う


天音の流れる傍らに佇み

ふと今を想う…



その永遠 - 2016.11.28 Mon





太陽に焦がれたわけじゃない


朽ちては芽吹き


芽吹いては朽ちる


終わり無きがごとく…



金鱗湖 - 2016.11.19 Sat





冷と熱の湧くこの湖も枯渇の危機にあったのか…


春の日

足元の大地がドンドンと揺れ続け

数多の生物が昼夜を忘れる事態となった

破壊的に自然が歪んで建造物が姿を失った


活断層なる言葉が虚しくなるほどの犠牲が強いられた


悲しいことに世界地図に隠れた狂気が一気に暴れ出したみたいだ


秋の日

湖は静けさを取り戻し

水鏡の紅葉が美しい



私は忘れない

この大地に映えた色合いは

地球の記憶にも深く刻まれてゆくことだろう


 - 2016.10.21 Fri





雨降りの夜

ちんちん電車はぼくらを乗せて

街の灯りを涙に似せて

ゴォストップを繰り返す



ぼくのお腹はそのたびに

角ハイボォルのシェイクに躍る


シュワシュワシュワシュワ

シュワルツェネッガー

マッチョじゃないけど躍るんだ


みんなはどうかなハイボォル

一緒に飲んだねハイボォル


ぼくのお腹は躍っているよ

こんな具合に軽快に

ゴォストップを繰り返す



雨降る夜のちんちん電車

悲しむことは何も無い

雨降る街のちんちんの

ゴォストップに躍る身の

何気に浮いた心地する

今宵の酒は良いお酒…

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